清水寺(きよみずでら)は、京都府京都市東山区清水にある寺院。山号は音羽山。もとは法相宗に属したが、現在は独立して北法相宗大本山を名乗る。西国三十三所第16番札所。本尊は十一面千手観世音菩薩。
本尊真言:おん ばざら たらま きりく そわか
ご詠歌:松風や音羽の滝の清水を むすぶ心は涼しかるらん

本堂 舞台
概要
清水寺は法相宗(南都六宗の一)系の寺院で、広隆寺、鞍馬寺とともに、平安京遷都以前からの歴史をもつ、京都では数少ない寺院の1つである。また、石山寺(滋賀県大津市)、長谷寺(奈良県桜井市)などと並び、日本でも有数の観音霊場であり、鹿苑寺(金閣寺)、嵐山などと並ぶ京都市内でも有数の観光地として有名であり、季節を問わず多くの参詣者が訪れる。また、修学旅行で多くの学生が訪れる。古都京都の文化財としてユネスコ世界遺産に登録されている。
清水寺の宗旨は、当初は法相宗で、平安時代中期からは真言宗を兼宗していた。明治時代初期に一時真言宗醍醐派に属するが、1885年(明治18年)に法相宗に復す。1965年(昭和40年)に当時の住職大西良慶が北法相宗を立宗して法相宗から独立した。

西門から望む仁王門

境内風景
各地の同名寺院
日本各地に「清水寺」(きよみずでら、せいすいじ)を名乗る寺院が多数あり、中には坂上田村麻呂の開創ないし中興の伝説を有するものもある。岩手県花巻市の音羽山清水寺は田村麻呂の開創を伝える。長野県山形村の慈眼山清水寺は田村麻呂の中興を伝え、この寺の千手観音像が京都にもたらされて東山の清水寺になったという。岐阜県加茂郡富加町の「白華山清水寺」は田村麻呂と延鎮による草創を伝える。
境内
参道
東大路通の清水道交差点から清水寺までの約1.2キロの坂道は清水道と称され、道の両側には観光客向けのみやげ物店などが軒を連ねている。この道は松原通(かつての五条通)の延長である。その南、東山五条の交差点から北東に上り、清水道に合流する五条坂も参詣道となっている。さらに、五条坂の途中から分岐して清水寺仁王門付近に達する清水新道(茶わん坂)もある。これらの参道が開けたのは近世以降のことであり、中世までは八坂の塔(法観寺)を経て産寧坂(三年坂)を南方向へ上り、経書堂(きょうかくどう)のところで左(東)へ折れるルートが参道であった。
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境内の概要
境内は標高242メートルの清水山(音羽山)中腹に石垣を築いて整地され、多くの建物が軒を接するように建ち並んでいる。入口の仁王門を過ぎ、西門、三重塔、鐘楼、経堂、開山堂(田村堂)、朝倉堂などを経て本堂に至る。本堂の先、境内の東側には北から釈迦堂、阿弥陀堂、奥の院が崖に面して建つ。本堂東側の石段を下りた先には寺名の由来でもある名水が3本の筧(かけい)から流れ落ちており、「音羽の滝」と呼ばれている。音羽の滝からさらに南へ進むと、「錦雲渓」と呼ばれる谷を越えた先に塔頭寺院の泰産寺があり、「子安塔」と呼ばれる小さな三重塔がある。北には清水寺本坊の成就院がある。
このほか、本堂のすぐ北隣に地主神社(じしゅじんじゃ)があり、明治以降は神仏分離により独立したが、もともとは鎮守社として清水寺の一部であった。
本堂
国宝。徳川家光の寄進により寛永10年(1633年)に再建されたもの。「清水の舞台」とも呼ばれる。屋根は寄棟造、檜皮葺きで、正面(南面)左右に入母屋造の翼廊が突き出し、外観に変化を与えている。建物の前半部分は山の斜面にせり出すようにして建てられ、多くの長大なケヤキの柱(139本という)が「舞台」と呼ばれるせり出し部分を支えている(釘は使われていない)。このような構造を「懸造(かけづくり)」、あるいは「舞台造」といい、観音菩薩は補陀洛山(ふだらくさん)に現われるという『妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五』(観音経)の所説に基づくものである。なお、同じく観音霊場である長谷寺や石山寺の本堂も同様の「懸造」である。

音羽の滝

三重塔

西門と鐘楼(左)
子安塔
本尊
本堂本尊
清水寺本堂本尊の千手観音立像は33年に1度開扉の秘仏であり、写真も公表されていない。ただし、秘仏本尊を模して造られた「お前立ち像」の写真は公表されている。本像は、42本の手のうち、左右各1本を頭上に伸ばして組み合わせ、化仏(けぶつ)を捧げ持つ特殊な形式の像である。このような形式の像を「清水寺形千手観音」と称し、これを模した彫像、画像が日本各地に存在する。このような、脇手のうちの2本を頭上に掲げる形の千手観音については経典に典拠がなく、その由来は未詳である。脇侍として毘沙門天像と地蔵菩薩像を安置するが、このうち地蔵菩薩像は、鎧で武装した上に袈裟を着け、兜をかぶり、剣を持つ特殊な形の像である。
本堂本尊は、20世紀末以降では以下の機会に開帳された。
- 2000年3月3日から同年12月3日まで(33年に一度の開帳)
- 2008年9月1日から11月30日まで、および2009年3月1日から5月31日まで(西国三十三所巡礼の中興者とされる花山法皇一千年忌記念の結縁開帳)
文化財
国宝
- 本堂 附:厨子3基
文化財保護法第2条に基づき、建物とともに清水寺境内地も1993年9月1日付けで国宝に追加指定されている。

紅葉の清水寺本堂

紅葉の清水寺本堂
重要文化財(建造
- 清水寺(建造物)15棟
- 地主神社本殿・拝殿・総門(現在清水寺とは別法人) 地主神社境内地も社殿と一体をなして価値を形成するものとして重要文化財に指定されている。
以上の建物のうち特記のないものは寛永年間(1630年代)の建立である。
アクセス
- 京阪電気鉄道京阪本線「清水五条駅」下車徒歩約22分、または「祇園四条駅」下車徒歩約25分
- 「清水道」または「五条坂」バス停(京都市営バス80・86・急行100・急行106・急行110・202・206・207号系統、京阪バス83・83A・84・84C・85・85A・86・86A・86B・87・87A・87B・88・88B・88C系統)下車徒歩約10分。
- 最寄りバス停は「五条坂」から五条坂経由、又は「清水道」から清水坂経由で行くのが近いが、五条坂は観光バスの通行が多く、清水坂(松原通)も五条坂との合流点まではタクシーや一般車の通行が多い。少し遠回りになるが、清水道バス停からすぐ北側の信号を東側に曲がる八坂通を通行したほうが車も少なく、法観寺の八坂の塔を見ながらの石畳道で風情があるのだが、京都駅方面からのバスは五条坂バス停で清水寺方面の乗客の下車を促す案内放送をあえて流す。これは五条坂から乗車する乗客も多いため、五条坂と清水道の両バス停間のバスの混雑を避ける措置である。
所在地 | 京都府京都市東山区清水一丁目294 |
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位置 | ![]() ![]() |
山号 | 音羽山 |
宗派 | 北法相宗 (1965年までは法相宗) |
寺格 | 大本山 |
本尊 | 十一面千手観世音菩薩(秘仏) |
創建年 | (伝)宝亀9年(778年) |
開基 | (伝)延鎮 |
正式名 | 音羽山 清水寺 |
札所等 | 西国三十三所第16番 法然上人二十五霊場第13番 洛陽三十三所観音霊場第10 – 14番 神仏霊場巡拝の道第117番(京都37番) |
文化財 | 本堂(国宝) 仁王門、三重塔、鐘楼ほか(重要文化財) 世界遺産 |
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