尾瀬国立公園に指定され、日本百景に選定されている・尾瀬(おぜ) | 日本の歴史と自然の美を楽しむ

尾瀬国立公園に指定され、日本百景に選定されている・尾瀬(おぜ)

尾瀬(おぜ)は、福島県南会津郡檜枝岐村)・新潟県魚沼市)・群馬県利根郡片品村)の3県にまたがる高地にある盆地状の高原であり、阿賀野川水系最大の支流只見川の源流域となっている。中心となる尾瀬ヶ原は約1万年前に形成されたと考えられる湿原である。尾瀬国立公園に指定され、日本百景に選定されている。

尾瀬ヶ原と燧ヶ岳

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概要

尾瀬は活火山である燧ケ岳の噴火活動によってできた湿原であり、ミズバショウミズゴケなど湿原特有の貴重な植物群落が見られる。ほぼ全域が国立公園特別保護地域および特別天然記念物に指定されており、歩道以外への立ち入りが厳しく制限され、ごみ持ち帰り運動の発祥地であるなど、日本の自然・環境保護運動の象徴でもある。

一般的に尾瀬とは、『尾瀬ヶ原』のほか、『尾瀬沼』や『至仏山』、『燧ヶ岳』等が含まれる国立公園特別保護地域を指すが、広義には、国道401号片品川沿いの登山口駐車場を『尾瀬駐車場』と呼んだり、その近隣のスキー場を『スノーパーク尾瀬戸倉』と呼ぶなど、登山口周辺地域を尾瀬と呼ぶこともあり、『大清水』や『御池』なども尾瀬と云うことがある。

尾瀬ヶ原と至仏山。木道はほとんどの場所が複線化されており、右側通行である。右にある池は、池塘と呼ばれる。

地理

至仏山燧ヶ岳、景鶴山、中原山などの2000メートル級の山に全方向をかこまれた盆地である。東側が上流域にあたる尾瀬沼で標高1660m、西側の下流域にあたる尾瀬ヶ原が標高1400m。尾瀬沼と尾瀬ヶ原周辺に湿原が多い。沼や湿原は只見川の源流となっており、尾瀬ヶ原の水は全て只見川として流れ出て平滑の滝三条の滝などを下り阿賀野川に合流する。東西約6km、南北3km。特別保護地域の面積はおよそ8690ha

尾瀬ヶ原の湿原と拠水林

尾瀬ヶ原の湿原は「拠水林」によっていくつかに分割されている。拠水林とは、湿原の外部から湿原を貫通して流れる川の両側に成立している林のことである。湿原の外部から流れてくる川は多くの土砂を運び、川の両側に自然堤防を形づくり、そこだけは樹木の成長が可能となる。ただし、全ての川に拠水林が成立するわけではない。小規模な川は湿原に流入直後の短い距離にしか拠水林を作れない川が多い。また、湿原内に湧き出た泉を水源とする川にも拠水林は成立しない。

拠水林によって尾瀬ヶ原の湿原は、いくつかに分割されており、それぞれに独自の名称がついている。川上川と上ノ大堀川に囲まれた「上田代」。上ノ大堀川とヨッピ川、沼尻川に囲まれた「中田代」。沼尻川と只見川に囲まれた「下田代」が主な湿原であるが、周囲にも「背中アブリ田代」や「ヨシッ堀田代」、「赤田代」などの湿原があり、至仏山や燧ヶ岳の山頂から尾瀬ヶ原を展望するとモザイク状に拠水林によって分割されている様子がわかる。

川沿いに成立する拠水林。樹種はシラカバが中心。

気候

標高約1400mの高地に位置し、亜寒帯湿潤気候である。夏は冷涼、冬は非常に寒さが厳しく、-30度近くまで下がることもあり、1995年12月28日には尾瀬沼で-31.0℃、山の鼻で-30.0℃が観測されている。冬季の降雪量が多い日本海側気候であるが、太平洋と日本海の分水界でもあり、太平洋側気候の特色も持つ。

周辺の山

尾瀬沼の近辺に至仏山燧ヶ岳があり、周辺には日光白根山帝釈山平ヶ岳武尊山などのがある。

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至仏山 (群馬県片品村)

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福島県燧ヶ岳

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日光白根山を西から望む。左下は丸沼高原スキー場

Mt Joshu-Hotaka 2005.jpg

武尊山を東から望む

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周辺の峠

源流の河川

以下の源流となる只見川水系河川日本海へ流れ、利根川水系の河川は太平洋へ流れる。

  • 只見川尾瀬沼と尾瀬ヶ原を源流とする河川)
  • 桧枝岐川(只見川の支流
  • 利根川(大清水平、小渕沢田代などを源流とする河川)

自然保護運動

尾瀬では自然保護運動がさかんであり、これらの運動の一部は尾瀬の後に他地域で実践されるようになったものも多い。このため、これらの活動について列挙する。なお、自然保護を目的として1972年には群馬県尾瀬憲章が制定。1996年には尾瀬保護財団が設立されている。

ごみ持ち帰り運動

ごみ持ち帰り運動も、尾瀬が元祖であるとされる。それまで尾瀬には多くのゴミ箱が設置されていたが、ごみの処理に苦労していたうえ、ごみ箱はすぐにあふれたため、入りきらなかったごみはごみ箱周辺に散乱し、風などで周囲に飛散していた。ごみ持ち帰り運動は「逆転の発想」として1972年に開始され、翌年までにはすべてのごみ箱が撤去された。この運動はその後他の地域にも広まっていった。また、それまでは不燃ごみは穴を掘って埋めることが多かったが、それらの「過去のごみ」も順次発掘の上尾瀬の外に搬出する作業が、ボランティアも交えて行われている。

廃棄物の処理

ごみ以外の廃棄物も原則として尾瀬には廃棄しないのも特徴である。公衆トイレの排泄物などは、合併浄化槽で液体部分は排水しても問題ないレベルまで処理して放流し、固体部分は脱水・乾燥処理しヘリコプターで回収している。排水をパイプラインを通して尾瀬外の河川に流すトイレもある。ただ、合併浄化槽を運転するために、24時間自家発電の運転が必要となり、維持コストがかさむために、1回使用あたり100円から200円のチップ制になっている。尾瀬はほとんどの山小屋に風呂が設置されているが、現在は汗を流すだけで石鹸シャンプーは使用できない。食器洗いの際も汚れは極力ふき取り処理が行われており、洗剤の使用は最低限に抑えられている。これは、これらの生活排水などが自然環境に影響を与えると考えられているためである。

自動車乗り入れの制限

1999年には自然保護を理由に、乗合自動車以外の自動車の乗り入れが一部禁止された。規制は数年かけて徐々に強化されており、2008年現在、群馬県側の鳩待峠口では5月中旬から7月末および10月初めから中旬の全日と8・9月の週末は自家用車の乗り入れができなくなっている。また、福島県の沼山峠口では通年自家用車の乗り入れができなくなっている。その他、かつて唯一峠まで自動車で登ることができ、1960年代は最も多くの登山者が利用した富士見峠は、後述するアヤメ平の保護のために、富士見下から富士見峠間について通年許可車以外の通行はできなくなっている。

観光・登山

尾瀬はほとんどの場所に木道が整備されており、湿原だけを回る場合は標高差は最大でも260m程度であり、歩行はそれほど困難ではない。

登山道から木道があることから、軽装の観光客も多いが、現地は山岳地帯であり、同じ群馬県内の高崎などの平野部と比べて気温も10℃以上差がある。多くの人が訪れる初夏のミズバショウの季節は残雪も多く、気象の変化により急激に気温が低下することもある。

また、中央分水嶺付近に位置することなどから夏の山の天気は崩れやすく、雨天時や雨天後は木道が水没していることもある。

尾瀬ヶ原、下田代のシラカバと燧ヶ岳

山小屋などの施設

尾瀬沼の東端及び尾瀬ヶ原の西端には、ビジターセンター国民宿舎がある。

山小屋・休憩所

尾瀬は広大なため、日帰りで一周することは非常に難しい。このため、湿原内に多くの山小屋が設置され、利用される場合がある。ただし、他地域の山小屋と異なり、すべての山小屋が事前予約制をとっている。これは、予約制でない時代に多くの登山者が詰めかけ、収容人員をはるかに上回る事態となったためであり、自然保護のための入山規制の意味合いもある。山小屋は、鳩待峠、山の鼻、竜宮、ヨシッ堀田代、見晴、赤田代、尾瀬沼東岸、三平下、大清水、御池、七入の各地区に存在する。多くの山小屋は、昼間もカレーや麺類など軽食を出す休憩所や記念品、飲料などを販売する売店としても営業している。山小屋以外にも管理人が常駐し、軽食の提供や売店を営業する有人の休憩所が各所にある。山小屋の物資はヘリコプター輸送のほか、尾瀬ヶ原地区では生鮮食料品などはボッカにより輸送されている。そのため、シーズン中は毎日郵便物の取集があり、主要な山小屋には期間を限って郵便ポストが設置される。なお、ポストによっては現在はボッカではなく依託された郵便物取集人が取集を行っている。

キャンプ指定地

キャンプは指定された3箇所(山の鼻、見晴、尾瀬沼東岸)で可能であるが、尾瀬沼野営場は尾瀬沼ヒュッテでの予約が必要である。

公衆トイレ

公衆トイレは山小屋の存在する場所に設置されている。チップ制が採用され、使用料(1回100円程度、沼尻では200円)を入口の箱に投入するというようなシステムになっている。

尾瀬見晴十字路の山小屋群

交通・アクセス

最も入山者数が多い入山口である鳩待峠鳩待峠から尾瀬ヶ原まではこのような樹林帯の中の木道を1時間ほど歩く

現地には自動車道は通っていないため、登山口からは徒歩で行くことになる。主な登山口は群馬県側が鳩待峠富士見峠・大清水(三平峠)の3箇所で、福島県側が御池・沼山峠の2箇所。このほか新潟県側からの入山口(越後口)がある。バス停から尾瀬までの行程が短い鳩待峠と沼山峠の2つの入山口からの入山者が多く、これら2箇所では前記のように自家用車乗り入れ規制がある。特に東京方面からの便が良く峠まで自動車が上がるため体力的に楽な鳩待峠からの入山が半数以上を占めている。

マイカー利用時

自家用車の場合、群馬県側は、片品村戸倉の尾瀬第一駐車場(有料)、尾瀬第二駐車場(並木駐車場)(有料)に止め、そこから路線バスまたは乗合タクシーで登山口である鳩待峠に向かう。乗車券はバスと乗り合いタクシーは共通であり、頻発運転により利便性を確保している。福島県側からは、御池駐車場(有料、規制期間によっては使用不可のことあり)、七入駐車場(無料)に止め、同様に路線バスなどを利用する。これらの駐車場のほか、大清水駐車場(有料)、鳩待峠駐車場(規制時は使用不可)、富士見下駐車場(無料)がある。このうち、鳩待峠駐車場は狭いため規制期間中は使用できず、また規制期間外でも満車の時が多い。しかも自然保護を理由として周辺よりも高い駐車料金となっている。

公共交通機関利用時

電車・バスを利用する場合、群馬県側は上越新幹線上毛高原駅または上越線沼田駅から鳩待峠行バス連絡所行きまたは大清水行きのバスを利用。福島県側からは、野岩鉄道会津鉄道会津高原尾瀬口駅から沼山峠行きバスを利用する。なお、東武鉄道がシーズン中の週末を中心に浅草駅から会津高原尾瀬口駅まで夜行列車(尾瀬夜行)を走らせている(沼山峠行きの連絡バスに接続する)ほか、関越交通バスタ新宿(新宿駅)および東京駅から大清水行き高速バスを走らせている。(戸倉で鳩待峠行きのシャトルバスに乗り換えられる) このほかに、上越線浦佐駅から奥只見行きのバスに乗り、そこから定期船で尾瀬口、尾瀬口から定期バス(予約制)で小沢平・御池・沼山峠まで行く方法があるが、バスの本数が非常に少ない(1日2本(繁忙期のみ3本))こと、積雪のために開通が6月上旬になることから、このルートを利用する場合は、関係各機関に問い合わせるなど、事前の準備を十分に行う必要がある。

最も利便性の高い鳩待峠や沼山峠からでも、バスの終点から尾瀬の湿原までは、徒歩で1時間ほどかかる。なお、冬季は降雪により、冬山経験者以外の訪問は困難である。

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